共同創業者 斎藤明日美の退任にあたってのメッセージ

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共同創業者 斎藤明日美の退任にあたってのメッセージ

このたび、NPO法人Waffleの共同創業者である斎藤明日美が退任することになりました。退任にあたり、皆様へのメッセージを掲載いたします。

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私、斎藤明日美は、2023年7月31日をもってWaffleを卒業いたします。私がフルタイムの仕事を持ちながら、ボランティアでWaffleに参画した2019年11月より、本日まで大変多くの方にお世話になりました。当時は日本にまだひとつもなかった「女子が行ったらいつでもプログラミングを勉強できる場所」を作りたくて、今日までがむしゃらに走ってきました。結果、この3年半で想像もできないほど大きなプログラムと、社会の変化を率いることができたと感じています。改めて、一緒に走ってきた共同創業者の田中沙弥果、メンバーの皆さん、そして外から支えてくれた多くの方々へ感謝申し上げます。

2020年に前職を退職したその日から「Waffle Camp」を作り始め、2021年には初めての大人数プログラムとして「Technovation Girls」の運営を指揮し、2022年には初めての大学生向けプログラム「Waffle College」を作り上げました。何日も悩み続ける日もあれば、仲間とともにホワイトボードをいっぱいにした日も多々あります。OECD最低のジェンダーギャップ指数ランクの国で、女子教育を進めるためのベストな戦略に頭を費やしてきました。

そしてその間、多くの講演や政策提言の場にも出させていただき、IT分野のジェンダーギャップ解消のための女子教育について社会を啓発する機会をいただきました。2022年の後半からはより組織体制について考える日が増え、事業開発だけでなく組織作りについても多くを学び、試行錯誤しながら歩んできた日々でした。また、仲間とともにジェンダーについて、Waffleについて対話を深めていきました。

ありがたいことに、この3年半のうちに集まった仲間のおかげで、Waffle自体の活動の火が消えることはもうなさそうだという自信を得ることができました。素晴らしい仲間が集まっています。私は胸をはって、Waffleのメンバー一人ひとりをジェンダー分野のリーダーとして紹介することができます。また、社会の中でもSTEM分野の女性教育の重要さに関する通念が醸成されてきました。

そうしたときに私のミッションは何か、それを考えるときがやってきました。

私はWaffleの役割のひとつに、日本社会における理系女子教育のベストプラクティスを生み出し、広げるということがあると思っています。私たちは株式会社ではなく、非営利組織です。私たちの成功事例は独占するのではなく、社会に還元するためにあります。海外では、IT系のジェンダーギャップを解消しようと活動している団体が数多くあります。残念ながら日本ではまだまだ少ないのが現状です。そして、多くのプラクティスがとられている西欧と日本では文化も言語も異なるので、日本でのメソッドというのは別で必要だと感じていました。メソッドについては、いつか異なる方法でお伝えできたらと思うのですが、私の次のミッションは、Waffleの外でのIT分野の女性比率向上を目指すことだと考えています。

一方で、Waffleでは、常に自分の技術的背景の未熟さを反省する日々でした。これから社会における技術実装はより進み、先端技術も日々進歩していきます。そのような社会において、技術と教育をブリッジする者として、より高い技術的素養をつける必要性をひしひしと感じていました。「高く跳ぶためには、それだけの助走がいる」とは、私が学生のときにいただいた言葉ですが、次のための助走の期間がやってきたように思います(そしてこの言葉はよくメンバーにも伝えてきました)。

もちろん、Waffleでやり残したことも多くありますし、ここで離れることが正しいのかはわかりません。ただ、私は今ここにいる仲間が、私が成し遂げたこと以上のことをしてくれると信じています。私は、その間に次のための仕込みを始めようかな、それくらいの軽い気持ちで今はいます。なぜならば、私たちは常に心ひとつにIT分野のジェンダーギャップ解消を目指して、女性のエンパワメントのために活動をしている・していくからです。

最後に、私は科学技術の分野が大好きです!ITに限らず、この分野にはわくわくどきどきするものがたくさんあります。また、科学技術を活用することで、テコのように社会・環境を大きく変えることもできます。これからも、より多くの女子とジェンダーマイノリティがこの分野に惹きつけられて、楽しさを感じて、ディープな世界へと潜っていくことを望んでいます。そして、皆さんがそれぞれの世界で羽ばたくことを心から祈っています。

最後の最後に、改めて、ここまで大変多くの方にお世話になりました。ここではお名前は割愛させていただきますが、改めて、お一人おひとりにご連絡を差し上げたいと思っています。右も左もわからないところから優しく導いてくださった、日本社会のジェンダーギャップ解消に向けて尽力してきた先人の皆さま、理系の女性進出施策の諸先輩方、そして、一緒にWaffleを作り上げてくださった皆さま。また、イベントやプログラムに参加してくれたみな皆さま、なもなきNPOにお子さんを送り出してくださった保護者・先生方、本当にありがとうございました。Waffleに参加してくれた参加者のことは一人残らず覚えています。そして、ここまで走ってきた仲間に、心より感謝を申し上げます。

2023年7月24日
斎藤 明日美

Twitter: https://twitter.com/AsumiWaffle
LinkedIn: https://www.linkedin.com/