ジェンダーステレオタイプがインポスター症候群を引き起こす…?

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ジェンダーステレオタイプがインポスター症候群を引き起こす…?

働いているときに「自分は能力が足りないのにこのプロジェクトを任されてしまった…できないとバレてしまったどうしよう」と感じたり、学生のときに「上のクラスに入ってしまったけど、他の生徒よりできなかったらどうしよう…こんなことだったら最初から下のクラスにいたかった」と思ったことはありますか?

このような気持ちはインポスター(詐欺師)症候群と呼ばれる症状で、実は70%もの人が感じたことがあるそうです。インポスター症候群の人は「自分が今行っている仕事をする能力が本当はなくて、いつか誰かがその偽りを見つけてしまうのではないか」という気持ちを感じます。

このインポスター症候群、完璧主義であったり、人に頼ることが苦手な人がかかりやすいという内的な要因も指摘されていますが、外的な要因も関係しているそうです。今回の記事では、STEM女性にインポスター症候群を引き起こす外的環境と、その対策について紹介します。

STEM女性にインポスター症候群を引き起こす外的環境

STEMの中でも特に工学や物理学では女性が少なく、自分が教室にいること自体が「自分はがここにいるのは間違っているかもしれない」と思わせてしまうことがあります。ロールモデルの少なさや、自分が「らしくない」ことからインポスター症候群を引き起こしてしまうのです。

アメリカでコンピューターサイエンス学部の男女比を50:50にあげたハーベーマッド大学のクラウェ学長も、「UBCのサイエンス学部の学長になったときも、プリンストンの工学部学長になったときも、ハーベーマッドの学長になったときも、自分は何か間違っているんじゃないかと思っていた」と話しています。また、オバマ前大統領のファーストレディで世界的に有名なアクティビストのミシェル・オバマ氏も「主要な意思決定の場には男性ばかりで、自分が違う場所にいると感じてしまうことは否定できない」と語っています。

男性が多い場で誤った質問(そんなものはないのですが…)をすると、かえって自分が悪目立ちしてしまうという恐怖もあります。

どのようにしてインポスター症候群に立ち向かうか

こちらの記事では、インポスター症候群に立ち向かうための9つの方法が紹介されています。いずれの方法も、自分の自信をとりもどすのに有効だといえます。

  1. 誰かに話すこと。他の人の口から「インポスター症候群はよくあること」だと聞くと、自分が能力がないかもしれないという気持ちも和らいでいきます。
  2. 友達に自分について質問すること。往々にして、他人の方が自分に関する客観的な意見を持っています。そして、自分の達成したことに「すごいね」と言っていたらそれを素直に受け入れること。
  3. インポスター症候群の研修に行くこと。そこで素晴らしい人々に出会うでしょうが、その人たちのほとんど全員が「自分は実はダメなんだ…」と思っていると知れば、インポスター症候群が思い込みであるということに気づくでしょう。
  4. 自分の言葉に気を付けること。自分の言葉は思考に影響します。また、自分に対する疑念がわいてきたときのための答えを頭の中で用意しておくのも手です。
  5. 自分の専門領域について人に教える体験をすること。教えることによって自信を得るだけでなく、他の人がインポスター症候群に陥るのを防ぐよう伝えることもできます。
  6. 質問すること。自分が完璧にわかってないといけないと思うと質問は怖いですが、誰かに答えてもらうことで、その恐怖が悪化することはありません。
  7. 仲間を作ること。お互いに「そんなことないよ、自信をもって」と支え合える人とタッグを組みましょう。
  8. 自分が何を達成したか、できるだけ記録しておくようにしましょう。その達成感をモノにしましょう。たまに見返すと、疑いの心も晴れて行きます。
  9. 自分にとって大切な価値観を見直すこと。自分の仕事を人に見せるときは、その仕事が価値観を表しているということを思い出してみましょう。

最後の価値観に関するアドバイスは少し理解しがたいかもしれませんが、実は「自分の大切な価値観を知る」ということが自信を底上げし、成績をあげるのに役立ったという研究事例があります。

15分間の介入実験が、その後の成績に影響をもたらした

もともと男女で成績差があった物理学の学部で、「男女の学歴差はうまれもった能力の差ではなく、ステレオタイプ驚異の結果である」という仮説をもった教授がある実験を行いました。

こちらの実験では、ライティングの練習という名目で学生を「自分にとって価値のあることについて、なぜそれが価値があるか」を書くグループと、「最も重要でない価値観について、なぜそれが他の人にとって大切か」を書くグループに分け、学部の授業の最初にワークを取り入れました。

その結果、前者のグループの男女の成績差が縮まったのが確認されました。これは、自分の価値観を見直すことが、ステレオタイプに打ち勝つ精神的なワクチンとなったことを示します。同様な実験は、黒人の高校生を対象にも行われ、同様な結果が得られました。

このように、15分の介入実験がステレオタイプを打ち破り、学生の実力を引き出すために役立つことを考えると、上にあげた残りの8つの方法もインポスター症候群の対策として十分に有効だといえるでしょう。

まとめ

インポスター症候群は70%の人が一度は経験する症状で、個人でできる対策も、コミュニティでできる対策も講じられています。自分がインポスター症候群気味だな、と気づいたら上にあげた方法を実践してみてください。

また、紹介した実験からもわかるように、なんらかのエンパワメント施策は個人の能力を開花させることに役に立ちます。Waffleがエンパワメントに力をおく理由もそこにあります。中高生を対象とした活動を行っていますが、その一度の接点が、その先の個人の可能性を開拓する一助になればと願っています。

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(参考文献)

Michelle Obama on “Imposter Syndrome,” Empowering Young Women, and Her Own Role Models

Female STEM students cite isolation, lack of role models

15-minute writing exercise closes the gender gap in university-level physics

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