日本の義務教育の情報分野にジェンダー視点の導入を目指す ー NPO法人Waffle理事長 田中沙弥果が文部科学省 中央教育審議会 情報・技術ワーキンググループ委員に就任

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日本の義務教育の情報分野にジェンダー視点の導入を目指す ー NPO法人Waffle理事長 田中沙弥果が文部科学省 中央教育審議会 情報・技術ワーキンググループ委員に就任

 NPO法人Waffle(東京都港区、理事長:田中 沙弥果、以下Waffle)は、このたび、理事長の田中 沙弥果が第13期中央教育審議会 初等中等教育分科会教育課程部会 情報・技術ワーキンググループ(*1)の委員に選出されたことをお知らせいたします。

 中央教育審議会(中教審)は文部科学大臣の諮問機関で、その教育課程部会は学習指導要領の改善を審議する部会です。学習指導要領は中教審の答申をもとに改定されるため、日本全国の初等中等教育の基準を決定する重要な役割を担っています。

 その中でも、情報・技術ワーキンググループは、小中高等学校を通じた情報活用能力の向上について専門的に検討する組織です。現在、小学校の総合学習に「情報」領域新設や中学校技術・家庭科の分離など、情報教育の抜本的強化が議論されており、次期学習指導要領における情報教育の在り方を決定する重要な役割を担っています。

義務教育(情報教育)にジェンダー視点を取り入れる意義

 今回、田中が中教審に委員として就任することにより、日本の技術教育に「ジェンダー視点」を制度的に取り入れる貴重な機会が生まれます。

 日本は現在、世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数で148カ国中118位(2025年時点)と先進国の中でも最低水準にあり、とりわけ理工系・情報分野における男女格差が顕著です。OECD加盟国の中で工学系学部に進学する女子学生の割合は最下位、また情報や理数系科目を担当する女性教員の比率も極めて低いことから、女子生徒がテクノロジーに関心を持ちにくく、進路として選びにくい構造的な課題が長年続いています。

 プラン・インターナショナル・ジャパンの2025年の調査(*2)によると、プログラミングの授業を受けた後に関心を持った男子高校生は71.5%、女子高校生は49.5%でした。2020年にプログラミング教育が必修化され、プログラミングを経験すること自体には性差はなくなりましたが、その後の関心の持ち方には依然として大きな差があります
 こうした課題を踏まえ、小中高段階からジェンダー視点を取り入れた情報教育を全国の義務教育に普及させることは、日本のテクノロジー分野におけるジェンダーギャップを改善する重要な取り組みとなります。
 小中高段階からジェンダー視点を取り入れた情報教育を全国に広げることは、単なる教育内容の改訂にとどまらず長年固定化されてきた「テクノロジー=男性中心」という構造の変革にもつながります

就任にあたって、Waffle 理事長 田中 沙弥果からのコメント

 2019年にWaffleを設立した背景には、中学・高校段階でプログラミングを学ぶ女子生徒が急激に少なくなる現状への強い危機感がありました。以来、女子およびノンバイナリーの中高生・大学生を対象に、プログラミングやAI教育を提供し、テクノロジーを自らの可能性につなげられるよう取り組んでまいりました。
 教育現場においてプログラミングに触れる機会は制度上では平等に提供されています。一方でその学びを技術習得やキャリア選択、関心の継続へと結びつける割合には、明確な男女差が生じています。
 今回、義務教育制度にジェンダーの視点を取り入れ、全国規模で浸透させることで、テクノロジー教育における男性中心的な構造を是正し、マイノリティを含むすべての子どもたちが、ものづくりの楽しさを享受し、最新の技術を活用して社会をより良くし、新たな価値を創出できる未来を実現していきたいと考えております。
 日本の技術教育にジェンダーの視点を取り入れるという、これまでにない議論に参画できることに感謝し、責任をもって臨んでまいります。

【特定非営利活動法人Waffle(ワッフル)】 https://waffle-waffle.org

 テクノロジー分野のジェンダーギャップ解消を目指し、女性のエンパワーメントと社会構造そのものの変革に取り組むNPO法人。中高生を対象とした無料のWebサイト制作コース「Waffle Camp」や、国際的なアプリ開発コンテスト「Technovation Girls」への日本国内出場支援、、大学生・大学院生向けキャリア支援・テック教育プログラム「Waffle College」など、多様な教育プログラムを展開している。さらに、「経済財政運営と改革の基本方針(通称:骨太の方針)」をはじめとする政策への提言を通じて、社会構造の是正にも積極的に取り組んでいる。2020年第4回ジャパンSDGsアワード「SDGsパートナーシップ賞」受賞。主な著書に『わたし×IT=最強説』(リトルモア刊)がある。

(*1)https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/118/index.html
(*2)「GIRLS LEADERSHIP REPORT 2025 彼女たちが拓くデジタルの未来(https://www.plan-international.jp/about/libraries/data/pdf/2503_GIRLS_LEADERSHIP_REPORT2025.pdf)」