【イベントレポート】スプツニ子!さん女子学生向けトークイベント

Close the gendergap

Created with Sketch.

【イベントレポート】スプツニ子!さん女子学生向けトークイベント

イベント紹介

Waffleは9月6日、東京藝術大学准教授でアーティストのスプツニ子!さんをお呼びしてトークイベントを開催しました。参加者は女子中高生・大学生を中心に100人以上。理系の進路につきまとう「親・先生ブロック」の乗り越え方や、マイノリティであることの強み、自信のつけ方など、参加者全員がエンパワメントされたトークの一部をご紹介します。

参加してくださった、ちかこさん( @chikakon55 )がグラレコを書いてくださいました!


<親ブロック相談所、やります!>

ーーー女子が理系の進路を選ぼうとしたとき、親や先生など周囲に反対されることがあります。どう思われますか?

大切なのは自分がやりたいっていう意思をもって仲間とつながる、理解者をまわりに作っておくことだと思います。理系は未来を作る分野だから、それが好きってすばらしいこと。

これまでの経験から思うことは、アメリカ、イギリスでは女性のエンジニアもいるし、アメリカの大手IT起業は女性の比率を上げることをすごく意識してるから、今シリコンバレーでは女性エンジニア争奪戦。みんな女性が欲しくてたまらない。だから女性がテックを学ぶことを止めるっていうのはありえない。もう2020年なのに、女の子たちが学ぶことに対して親ブロックとか先生ブロックを受けていると聞くと、起きないようにしなきゃいけないと思いました。

私は応援しているから、「親に反対されてます」という人がいたら私にメッセージください。私が説得しにいきます。お父さんお母さんに「あ、よしこちゃんのお父さんお母さんですか? 私はよしこちゃんがAIを学びたいというのを応援したいと思います」というzoomをやるのでみなさんアポいれて。Waffleメンバーで親ブロックがあったらスプツニ子が30分無料で説得しますっていうのやる!(笑)

---チャット欄のスプツニ子コールがすごいです! 親に逆らうメソッドをひとつ言うならなんでしょうか?

「親の一番の幸せは、自分が幸せになること」と言い聞かせていました。自分が幸せになるんだったらそれが一番の親孝行だから、「親のため」と思って逆らってました。

<イノベーションとマイノリティ>

 今、例えばフェムテックが世界で話題になっていますね。これは、女性のエンジニア、起業家、投資家が増えてきて、女性のニーズにきちんと向き合った新しいサービスとかプロダクトが開発されるようになってきたから。人口の半分は女性なので、大きくて大事なマーケットなんですよね。

フェムテックに限らず、新しい視点を提供するには違ったバックグラウンドにいるということは強みになります。コンピューターサイエンス分野には女性が少ないです。親ブロックや先生ブロックを乗り越えて、Waffleみたいな場所で仲間とつながって、自分の好きなテクノロジー、サイエンスを専攻して作りたいものを作るようになると、マイノリティであることで違った視点を提供できる。それは大きなメリットです。マイノリティということはイノベーションを作るすごく大事な視点を持っているということ。MITでも先生を採用するときは、なるべく多様なバックグラウンドの人を採用しようとしてましたね。似たものが集まっちゃうとイノベーション生まれづらくなるということで。

日本ではあまり広がっていないですが、アメリカはアファーマティブアクション(社会的差別解消のため、マイノリティを積極的に登用・選抜すること)があります。例えばMITだと教員に女性が少なく、白人が多いので人種的な多様性が少ないという事実が数字で明らかになっています。そのため、採用する時にはそういうマイノリティの応募者を入念に見て、採用していく仕組みがあるんです。

日本ではアファーマティブアクションについて「下駄を履かせてる」と言う人がいるんです。でもそれは全体が見えてないと思っています。下駄を測る物差し自体が、アメリカだと白人の男性が作った物差しだし、日本だと日本人の男性が作った物差しになっている。物差しを変えるには評価する側にいろいろな人をも入れなければいけないことが正しく理解されてほしいなと思います。

---「これは新しい物差しだな」という判断基準に会ったことはありますか?

MITメディアラボを創設したネグロポンテさんは「わからない」ことを大事にしていました。「良い・悪い」だと既存の評価軸でしか判断していない。でも本当に新しいものが出てくると、いいのか悪いのかも判断のしようがない。わからない、でも何かそこに未来があるかもしれないってものを、彼は本当に大事にしていて。「うーん、わからない。最高!」みたいな感じの人だったんですね。

わからないものを生み出すのは物差しがガチガチな人にはできない。マイノリティ的なバックグラウンドを持ってるからわからないものが出てくるかもしれない。ネグロポンテさんはいつも、わからないことがイノベーションにすごく近いと話していました。

<女性と自信、自信をプラスする>

メディアラボでメンターになってくれた女性の教授が、「女性は社会のプレッシャーもあって、男性と比べて自信を持ちづらい」と教えてくれました。同じ仕事に対して同じスキルセットの男性と女性がいる場合、男性はできると思って応募するけど、女の人はできないと思ってしまう自信の差がある。彼女が根拠となるデータとともに、「もしできないかもって思うことがあったら、足りない分の自信をプラスして、『できる』と自分を信じてあげると前に進める」と。

---なぜ女性は自信を持ちづらいのでしょうか? やはり普段から遭遇する親ブロックや世間ブロックの影響でしょうか?

おそらく親ブロック世間ブロックに加えて、ロールモデルの少なさ。私が中高生の頃、上の世代を見ると、女性の政治家や科学者が少なくて、みんなどこ行っちゃうんだろうと思ったんです。「私は今、数学が得意だけど、何かが起きて私は消えるのかな」と思っていました。ロールモデルの少なさの分、自信を上乗せをしてほしい。私は自信をなくす女性が少しでも減るといいなと思っているし、女性を応援したい。自分が感じたような違和感を再生産したくない。違和感を感じる女子が減るといいなと思っています。

---何かに失敗して挫折しそうになった時はどのように対処していますか?

私の人生も失敗の連続。大事なのは自分のやりたいことに素直になることですよね。失敗しても、やりたいことのビジョンに忠実でいると仲間ができるし、応援してくれる友達とか家族とか恋人とかを仲間にして、大事にすることを意識しています。いい時も悪い時もあるけど、悪い時でも「仲間がいるもん」って思えば前に進めます。失敗を恐れるとやりたいことができなくなってしまう。失敗は仲間がいればなんとかなります。

---最後に女子中高生、大学生へのメッセージをお願いします。

楽しいことに素直に。作りたいものをどんどん作って。親や先生の言うことを気にして不安になるのはもったいないので、楽しんでください。やりたいことを突き進めて下さい。理系が好きだったら楽しんでプログラミングしてください!

終わりに

今回は全国各地から女子中高生・大学生が集まり、テクノロジーに興味がある「仲間」が100名以上集まることが、力になると体感しました。

引き続きWaffleは、女子中高生向けコーディングコース「Waffle Camp(ワッフル・キャンプ)」及びこのようなイベントを実施していき、より多くの女子中高生に機会を届けていきたいと考えております!