ITやSTEM分野での女性のロールモデルの重要性
日本では、理数系を専攻する女子が少ない。「リケジョ」と呼ばれているのも珍しいからだ。文部科学省・平成25年度学校基本調査(速報)によると、日本の大学で理学部・工学部に所属する女子学生の割合は、全体のわずか14.7%。日本だけでなく世界各国でもSTEM分野※を専攻する女性の少なさは問題視されているが、日本のSTEM分野※を専攻する女性の割合はOECD加盟国内で最低レベルである。
より多くの女子学生がSTEM分野に興味を持つために、政府は様々な施策を行っている。そのうち、よく話題に挙がる「ロールモデルの存在」は課題の解決につながるのだろうか。
※科学(Science)・技術(Technology)・工学(Engineering)・数学(Mathematics)の略でいわゆる理系科目
ロールモデルの存在は女の子がSTEMに興味を示す割合を2倍にする
Microsoftがヨーロッパの12ヶ国で11歳~30歳の女性11,570人を対象に実施した調査によると、ロールモデルの存在は明らかにポジティブな影響を与えることがわかった。
ロールモデルがいない場合、21%の女の子がSTEMに興味を示すのに対し、ロールモデルがいる場合は2倍の41%の女の子がSTEMに興味を示したという。
海外だけではない。日本でも同様のロールモデルが身近にいるほうが明らかにポジティブな影響を与えることがわかっている。
内閣府委託調査「女子生徒等の理工系進路選択支援に向けた生徒等の意識に関する調査研究」では、女子生徒が自身を「理系タイプである」もしくは「どちらかといえば理系タイプである」と位置付けている割合と教員の性別に着目している。調査の結果は、
・中学校で理数科目(数学、理科)を1科目でも女性教員から教わっている女子:33.8%
・2科目ともに男性教員から教わっている女子:22.5%
となっており、理数科目の女性教員の存在は、身近なロールモデルとして女子の目に映っていると考えられる。
(http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r01/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-00-15.html )
アクションを起こすべきこと
日本では内閣府がロールモデル提示の施策として、STEM Girls Ambassadors(理工系女子応援大使)を認定し、彼女たちが全国を回り講演活動を実施している。
日本では理数系の女性の先生は3割程度だ。学校の先生の割合を急激に増やすことは簡単ではないが、学校外の私たちがコントロールできる範囲では、意識して女性のロールモデルを提示していきたい。
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