STEM分野の女性が少ないのは何故?おもちゃ×ジェンダーを考える
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現在、日本でのSTEM分野(”Science, Technology, Engineering and Mathematics” すなわち科学・技術・工学・数学の教育分野を総称する語)での高等教育や職種では、女性が男性より少ない傾向があります。中には、男性のほうが女性より数理を得意とする傾向が生まれつきあるからだという意見もあります。それはいつから始まるのでしょうか?
一つの説としては、幼少期のおもちゃと周りの大人が与える情報などが起因していると考えられています。
目次
- 乳幼児期のおもちゃに関する思い込み
- ジェンダー・ニュートラルかつSTEM教育に適したおもちゃとは
- 未来に向けて
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乳幼児期のおもちゃに関する思い込み
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数年前にBBCで取り上げられた実験があります。幼い男の子と女の子の洋服を取り替えて、男の子に女の子風の洋服を着せ、女の子に男の子風の洋服を着せたら、その子どもたちに大人はどんなおもちゃを与えるのか?
この実験の中で、女の子の洋服を着せられた男の子に、大人は人形やぬいぐるみといった、一般的に女の子向けとされるおもちゃを与えて遊ぼうとします。子どもも与えられるおもちゃに興味を示します。
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一方、男の子の洋服を着た女の子に、大人はロボット、トラックなどのおもちゃを与えて遊びます。また、子どもの体を持ち上げて自動車に乗せるなど、子どもの体をより大きく動かす傾向があります。
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子どもの脳の成長は遊びによって大きく変化するので、こうした小さい頃からの遊びの習慣が男の子の数理への興味を引き出す方向に動いているとも考えられます。
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ジェンダー・ニュートラルかつSTEM教育に適したおもちゃとは
このような背景から、性別でのラベリングやカテゴライズがされていないおもちゃや配慮がなされています。
例えば2017年のレゴのおもちゃのカタログで男の子向け、女の子向けといった表記をなくしていることで話題になりました。
https://www.lego.com/ja-jp
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また、電子回路の工作キットを提供するLittleBitsなども、社会が子どもたちに「男の子はこうであるべき、女の子はこうであるべき」という概念を与えるのではなく、女の子が自分たちのパッション(情熱)に従える製品づくりを意欲的に行っているとのことです。
https://www.littlebits-jp.com/
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その他、店舗やウェブサイトでの売場構成も重要な要素です。ジェンダー・ニュートラルなはずのレゴやLittleBitsのようなおもちゃであっても、男の子用のおもちゃコーナーだけに置いてあったら、女の子は興味があってもためらってしまうかもしれません。もしくは、保護者が売り場に女の子を連れていくことすらしないかもしれません。アメリカの大手スーパー「ターゲット」はおもちゃ売り場のジェンダー分けを2015年から撤廃していますが、売る側でのこういった考え方の浸透も重要な要素です。
未来に向けて
今なお日本ではSTEM分野を学んだり働いたりする女性比率は多くありません。この現状を変えていくためには色々な角度での取り組みが必要です。
Waffleの活動の対象は、おもちゃで遊ぶ子どもよりは少し上の世代ですが、女子中高生向けに技術と触れ合う機会を提供し、進路に関するエンパワメントを行っています。たとえば、4日間のプログラミングブートキャンプや、2日間のハッカソンなどのIT・STEMイベントを開催しています。これは、女子中高生に文理関係なく、プログラミングや技術を一つの手段として捉え、身近な課題をIT技術で解決する体験をを通して、女子中高生の進路選択の上で自分の興味のある分野×IT技術の進路選択を後押しをしています。こういった活動を通じて、現在存在する技術分野でのジェンダーギャップを解消していくことを目指しています。
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(ライター Yukiyo)
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一般社団法人Waffleは、テクノロジー業界やコンピュータ・サイエンス領域のジェンダーギャップを埋めることをミッションに、2017年から活動しています(2019年法人化)。主に、日本国内の女子中高生をターゲットに、コンピュータサイエンスの楽しさを感じてもらうためのイベントの開催や取材・記事執筆、世界的な女子中高生限定アプリコンテスト「Technovaton Challenge」の日本支部を運営しています。これまでに、多くの女子中高生に機会を提供しNHKニュース他メディアでも活動の様子が大きく取り上げられました。また、日本政府主催国際女性会議WAW!ではユース代表として登壇予定です。
団体名:一般社団法人Waffle
ウェブサイト:https://waffle-waffle.org/
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