アメリカ国務省「International Visitor Leadership Program(IVLP)」参加報告

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アメリカ国務省「International Visitor Leadership Program(IVLP)」参加報告

Waffleのディレクター 森田 久美子が、アメリカ国務省主催の国際交流プログラム「International Visitor Leadership Program(IVLP)」に参加し、STEM分野におけるDE&I促進に関する取り組みを視察する貴重な機会をいただきました。

このプログラムのテーマは、「Empowering Women across the Quad」。オーストラリア、インド、日本、米国の4カ国が協力する外交政策の枠組み「クアッド」の中で、女性リーダーの育成を目指すものでした。日本、オーストラリア、インドから11人の女性が参加し、アメリカの4都市を訪問しました。3週間にわたるアメリカ横断の旅を通じて得たおもな学びをご紹介します。


政策とアドボカシー

ワシントンD.C.でのレクチャーや国務省のクアッド担当者とのディスカッションを経て、連邦制度(Federalism)と政策決定の仕組みや、外交政策について理解を深めました。また、ネバダ州選出のジャッキー・ローゼン上院議員のオフィスを訪問。ローゼン議員は元プログラマーとして働かれていた女性で、技術やSTEM教育にとても熱意がある議員です。これまで機会が少なかった人たちにSTEM教育機会を提供する「STEM Opportunities Act」に関する取り組みは、日本における政策提言のヒントになりました。


STEM教育とイノベーション

ミシガン州・カラマズーにあるSTEM教育に力を入れているK-12教育機関のKalamazoo Area Math and Science Center(KAMSC)やComstock STEM Academyを訪問し、実際の授業を視察しました。女性や人種的マイノリティなどへのサポートの取り組みについても、校長先生たちにヒアリングをする機会がありました。校内に掲示された応援メッセージからも、未来のイノベーターを育てるための教育環境の重要性を実感しました。

アメリカの大学でもっとも学生が多様であるネバダ大学ラスベガス校では、新しいテクノロジーによるイノベーティブな試作品の展示や、大学生による地域の中高生へのアウトリーチ活動について聞くことができました。また、West Career & Technical Academyでは国際的ロボットコンテスト、VEXやFIRSTに挑戦しているチームとの交流もありました。学校の授業の中でこのようなコンテストに向けた時間を確保することもあるそうです。

さらに、カリフォルニア州教育省でディスカッションをする機会もいただき、STEM分野の地域間の教育格差解消や学力評価システムの構築について学びました。


産業界のリーダーシップとDEI推進

世界的なヘルスケア企業があるミシガン州・カラマズーで、StrykerやGlobal Clinical Connectionsといった企業を訪問し、ヘルスケア業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)やジェンダー視点を取り入れた医療イノベーションの取り組みについてディスカッションをしました。

シリコンバレーにある半導体の業界団体SEMIでは、グローバルなDEI推進について議論し、多様性のある技術人材育成の重要性を確認しました。半導体業界はこれからのテクノロジーの発展を左右する非常に重要な分野であるため、子どもたちに半導体に触れてもらえる教育プログラムを用意しているとのことでした。


女性起業家とネットワーキング

テックやヘルスケア分野で起業した女性CEOたちから、困難な状況でも社会にインパクトを与え続ける力強さと思いを同じくする人たちとの連帯の重要性を学びました。また、移民​​家族の中で初めて大学に進学する「ファーストジェネレーション」で、母親になった女性をサポートするためにコーディングを教える団体を立ち上げた女性からも、キャリアを築く上で大事にしてきたことについて話を聞くことができました。


グローバルな連携とシスターフッド

今回の旅では、日本、アメリカ、オーストラリア、インドのIVLP参加者との出会いを通じて、STEM分野におけるジェンダー平等推進に向けた世界的な視点を広げることができました。オーストラリアでSTEM分野に女性を増やすために行われている「Superstars of STEM」プログラムや、インドの女性起業家支援をしているメンバーが一緒だったため、それらの取り組みについても多くの情報が得られました。参加者全員が今の仕事に誇りを持ち、リーダーシップを発揮している姿に感銘を受け、とてもエンパワーされました。


このような機会に参加できたのも、多くの皆さまのご支援のおかげです。心から感謝申し上げます。今回のIVLP参加を通じて、政策提言、DEI戦略、教育のイノベーションなど、数多くの視点を学びました。これらの知見を日本での活動に取り入れ、STEM分野でのジェンダー平等推進に引き続き取り組んでいきたいと思います!

サポーター限定の報告会を開催します!

今回の学びについて、いつもWaffleをサポートしてくださっているみなさん限定の報告会を1月28日(火)オンラインにて開催予定です。この記事には書けなかった街の様子や学校現場、博物館などでのSTEM教育の工夫などについて写真と一緒にご紹介し、みなさんと一緒に将来の教育についてお話しする機会にできればと考えています。この機会にサポートのご検討もいただけると幸いです。

お申し込み方法はメールマガジンにてご案内します。ぜひご参加ください!