「『文系・理系』関係なし!コロナ後を生きる女子にIT系進路がおすすめなワケ」保護者会Q&Aレポート
2021年7月8日、IT業界のジェンダーギャップ解消を目標に活動するWaffleは、女子中高生の保護者様を対象とした「『文系・理系』関係なし! コロナ後を生きる女子に IT系進路がおすすめなワケ」というテーマのオンラインイベントを開催しました。
本イベントの中で、視聴者様からWaffleの活動や女の子が理系・IT分野に進む上での疑問・不安についてたくさんご質問・ご相談いただきました。
どれも進路選択に悩む方やWaffle Campへの参加を検討されている方の参考になる内容でしたので、本記事ではいただいたご質問・ご相談と、それに対する回答を一挙ご紹介します。
イベント概要
- 開催日:2021年7月8日20:00-21:00
- タイトル:「文系・理系」関係なし! コロナ後を生きる女子に IT系進路がおすすめなワケ
- アジェンダ:
- 一般社団法人Waffleとスピーカーに関する紹介
- Waffle Co-Founderr斎藤による講演
- 女の子が理系に進まない理由&進まないことによる弊害
- 女の子は本当に理系・ITが苦手なのか
- 女の子がITスキルを身に着けるべき理由
- ITスキルを身に着ける方法
- Q&A
一般社団法人Waffleとは?
テクノロジー分野のジェンダーギャップ解消を目指して活動する一般社団法人。主な活動として、女子中高生向けのプログラミングコース「Waffle Camp」の提供、10代女性を対象にしたアプリコンテストの日本チームのサポート、政策提言などをおこなっている。
スピーカー紹介
Waffle Co-Founder 斎藤明日美
1990年東京都生まれ。アリゾナ大学修士卒。データサイエンティストとして外資IT企業・AIスタートアップを経て、IT業界のジェンダーギャップを是正すべくWaffleを立ち上げ。
2020年Forbes JAPAN誌「世界を変える30歳未満30人」受賞。日本ロレアル「女性のエンパワーメント・アドバイザリー・ボード」設立メンバー。東京大学Beyond AIローンチイベントやUN SDG Action Campaignなど、AIの倫理やIT企業のダイバーシティに関する登壇経験あり。
Q&A
Q1:Waffle Campに参加するにあたり、参加前・参加後にやるべきことはありますか?
事前に宿題を共有しますので、参加前にはそれをやってもらうことになります。
宿題は、大体4~6時間くらいかけている学生さんが多い印象です。やはり高校生に比べると中学生の方が時間がかかっているかと思います。
いつもWaffle Camp開催日の前週金曜日に宿題を共有するのですが、共有されたらすぐに終わらせる学生さんもいれば、Waffle Campの前日に取り組む学生さんもいたりと様々です。
宿題の内容としては、「作成するウェブサイトの内容を考える」「ProgateでHTMLとCSSの予習をする」「Waffle Campの受講に利用するアカウント(DiscordやGitHubなど)を準備する」といったものがあります。
参加後の宿題などは特にありませんが、参加後2週間はウェブサイト完成のためオンラインでのサポートを提供しております。
自主的にコーディングを続ける学生さんもいれば、なにもしない学生さんもいます。
Q2:娘にWaffle Campを受けさせたいのですが、夏休みは友達と遊んだり塾に通ったりで忙しく、Waffle Campの優先度があまり高くならない様子。参加させるための良いアイディアはありますか?
Waffle Campのプログラムは1日だけですので、気軽に参加してもらえます。
参加する前には宿題をこなしてくる必要がありますが、忙しくてやってこれなかったという場合でも参加自体は可能ですし、何とかプログラムについてくることもできるとは思います。
なお、Waffle Campは主に日曜日に開講されるのですが、塾は日曜日にも授業が開催されることがあると思うので、その点は注意が必要です。
Q3:宿題(事前準備)が十分でない状態でWaffle Campに参加するのはもったいない気がしています。
こう言ってしまうとなんですが、Waffle Campは「コーディングの楽しさを経験してもらう場」です。
歳の近いお姉さんに優しくコーディングを教えてもらって、「私もこうなりたい」と思うようなきっかけを得てもらうことが最大の目的であり、そういう経験を得られること自体が、Waffle Campの最大の価値となっています。
また、同年代の他の学生が積極的にコーディングに取り組んでいる姿を見れることや、全国に仲間ができる点もWaffle Campのご評価いただいている点です。
なので、まずは気軽に参加していただければと思います。
Q4:目が疲れやすいのですが、PCの前にずっといなくても良いようなIT系の仕事はありますか?
プログラミングは現状PCで書くのが主流です。ただ、IT系の仕事はITコンサルタントなど、プログラマー以外の仕事もたくさんあります。
これからの時代は、エンジニアなどの職に就かないにしても、ITのスキルを身に着けておくことが重要です。例えば、エンジニアに指示を出す場合でも、ITの知識があるかないかで仕事のしやすさが変わります。
IT以外のことに興味がある人の中にもITをツールとして使える人が増えれば、あらゆる場所でITが利用されてより便利な世の中になると思います。
Q5:IT分野に興味を持つための本やSNSアカウントはありますか?
WaffleのTwitterアカウントやFacebookページがあります!
Waffleのアカウントでは技術的なことよりも「この学生がこういうものを作りました!」といったようなことが中心に投稿されていますので、「ITって便利だな」ということが実感いただけるかと思います。(Instagramは現在準備中ですが、学生向けイベントの発信を予定しています)
本については、『Girls Who Code 女の子の未来をひらくプログラミング』がおすすめです。数式ではなく、イラスト中心でプログラミングのことを教えてくれます。
そのほか、Waffleのブログでもおすすめの本や動画を紹介しています。
Q6:3人息子はプログラミング好きでどんどん進んで学んでいるのですが、母親としてついていけず、今からでも学べないかなぁと思っています。事務職10年以上でPC業務には慣れているのですが、ソフトウェアエンジニアは難しいですか?
簡単ではないですが遅くはないです。
自学自習に関するブログを公開していますので、よろしければご覧ください。実際にやってみる中で、息子さんに質問してみるのも面白いかと思います。
Q7:英語のようにプログラミングやCSの知識は今後必須になってくると思いますが、どの程度必要になりますか?
「どの程度」というのは正直難しいですね。
とにかく、まずは体験から始めるのが良いのではないかと思います。
もちろん継続的に学んでほしいのですが、継続的に学べる場所がそもそも日本にはあまりありません。
なので、日本ならまずは体験レベルでOKだと思います。体験してみて、プログラミングに対して楽しいというイメージを持つことが大事です。
体験してみた結果、より本格的に学びたいということであれば、情報系の学部に進学すると良いかと思います。
また、アプリやウェブサイトを1人で作ってみるというのも良い経験になります。
『いちばんよくわかるHTML5&CSS3デザインきちんと入門』などの本を参考にしながら、とりあえず何か1個作ってみるとある程度の感覚や知識は得られるのではないでしょうか。
Q8:数学が壊滅的にダメなので、本人がプログラミングは無理と思い込んでいます。やはり進路として考えるには数学は必須でしょうか?
大学受験の数学が苦手でも問題ありません。プログラミングにおいては、順序立てて物事を考えられることが大事です。
そういった意味では、むしろ国語が得意な子の方が、順序どおりに物事を考えたり文章の読み書きができる分、プログラミングに向いているのではないかと思います。
そもそも、エンジニアリングの種類によっては数学をほとんど使わないこともあります。
受験数学だと、XやYについて考えたりすると思うのですが、抽象的で正直意味がわからないですよね。
でも、例えばですが、プログラミングの現場だと「ウェブサイトに使っている画像Aと画像Bは重過ぎるから、画像Cに置き変えてみよう」といったようなことを考えます。これだったら具体性があるので、受験数学が苦手な人でも理解できますよね。
数IAさえ履修していれば受験できる情報系の学部もありますし、大学では受験数学とはまた違った「意味のある数学」を学ぶことができますので、受験数学への苦手意識は気にしなくて大丈夫です。
ちなみに、Waffle Campは数学の知識がなくても受講可能です。
Q9:ソフトウェアエンジニアという職において、大学、大学院名は重要でしょうか?
重要ではないです。
例えば、Googleは学歴重視で採用することをやめました。
でもそれはあくまでGoogleの話なので、日本社会にはまだ大学名で人を判断する風習は残っています。
ただ最近のソフトウェアエンジニアリングの世界では、大学名よりもインターンの経歴などが重視されるようになってきていて、「文系出身ですがIT企業でインターンして、こんなものを作りました」みたいな経歴が評価されるようになっています。
大学での専攻が就職に影響しないのは、日本の楽なところですね。アメリカだと大学の専攻がとても重視されるので。
ちなみに、大学名が全く重要ではないかというと、そうではありません。
理系の大学院は研究室推薦があるので、煩雑な新卒就活を経ずに推薦で就職につながることがあるからです。
Q10:Waffle Campの対象が中学生以上なのには何か理由がありますか?
Waffle代表の田中は、もともと小学生を相手にプログラミング教室の提供などをおこなっていたのですが、その現場では男の子も女の子もみんな一緒にプログラミングを楽しんでいました。
にも関わらず、理工系の進路を選択する女性が少ないという状況があります。Waffleではその原因が「中高の進路選択」にあると考えています。そのため、現状は女子中高生向けのコースを中心に提供し、理工系の進路を選択する女子学生を増やすための活動をおこなっています。(詳しくはこちらの記事をご覧ください)
今後、Waffle Campの活動がもっと軌道に乗ってきたら小学生向けも始めたいと思いますが、現状は提供できていません。
小学生向けのコースは中高生向けに比べても数が多いので、探してみていただけると嬉しいです。
以上、実際にいただいたご質問・ご相談と、それに対する斎藤の回答でした。
今後も保護者様向けのイベントを適宜開催していく予定ですので、今回はご参加いただけなかった方も、ぜひ次の機会にご参加いただけますと幸いです。
Waffleではサポーターを募集中です。月額500円(コーヒー1杯の金額)で、女子中高生にプログラミングの楽しさを知ってもらう機会を届けられます。(寄付のお申し込みはこちら)
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